107 神祇 明治天皇(第百二十二代)

神祇

えぬかみこころかよふこそひとこころのまことなりけれ。

【字句謹解】◯目に見えぬ かみは我々ので見えない空間にられると考へられてゐるのでかく言はれた ◯神の心 絕對ぜったいに正しく公平なかみ御心みこころの義 ◯通ふこそ 我々人間が至誠しせいを守つてかみの心に一致する意 ◯まこと 誠實せいじつの義。

〔注意〕本御製ほんぎょせいは明治四十年の御作おんさくで、人間の誠實せいじつな心はかみに通ふものでなければならないとおおせられたのである。

【大意謹述】現世げんせいに生活してゐる人々のからは御姿みすがたはいすることの出來で きない絕對ぜったい至公しこう至平しへいかみの持たれる心と一致するてんこそ、我々の心のうち誠實せいじつな部分で、これを「まこと」といふことが出來で きる。

【備考】世俗は往々外觀がいかんたらうて、內容をおろそかにする氣味き みがある。人のに映らぬものなら、善惡ぜんあくを差別せぬやうなことも少くない。けれどもそれは、しん至誠しせいに達するの道ではない。至誠しせいの人となるには、かみの心を以て自分の心としなければならぬ。そのかんにぴたりと一致するところがあるべきだ。ところが、世俗は、左樣そ うした修養しゅうようを往々、忘れちである。明治天皇におかせられては、以上の如き世俗の缺陷けっかんを取除き、すべてがかみの心に一致するやう敎訓きょうくんなされたのであらう。