84 社頭祈世 明治天皇(第百二十二代)

社頭祈世

とこしへにたみやすかれといのるなるわがまも伊勢い せ大神おおかみ

【字句謹解】◯とこしへに 永久に ◯民安かれ 國民こくみん安穩あんのんであつてほしい ◯祈るなる 祈禱きとうをする ◯わが世 ちんの世を統治してゐる御代み よ ◯伊勢の大神 皇太神宮こうたいじんぐうのこと。

【大意謹述】伊勢にまします皇太神宮こうたいじんぐう御前みまえに申し上げる。常々永久に國民こくみん安穩あんのんであるやうにといのつづけてゐるちんの世をどうか守護していただきたい。

【備考】本御製ほんぎょせいは明治二十五年の御作おんさくで、「社頭祈世しゃとうよをいのる」と題されてある。そこには至尊しそん御身おんみが親しく神前しんぜんにぬかづかれ、國家こっか國民こくみんとの太平無事をいのられた敬神けいしん愛民あいみんの情があふれみちてゐる。にも愛民の情をえいぜられた御製ぎょせいおびただしくはいせられるが、左にその四五首を謹載きんさいする。

(一)冬深きねやのふすまを重ねてもおもふはしづ夜寒よざむなりけり

(二)しづがすむわらやのさまを見てぞ思ふ雨風あめかぜあらきときはいかにと

(三)るにつけくもるにつけて思ふかなわがたみくさの上はいかにと

(四)あしはらくにまさんと思ふにもあほびとぐさぞたからなりける

(五)くにのためいよいよつくせ千萬ちよろずたみの心を一つにはしつ