68 山端月 光格天皇(第百十九代)

山端月

雲霧くもきりははらひつくせしあきかぜのみがきてづるやまのはのつき

【字句謹解】◯雲霧ははらひつくせし 雲や霧が空にあつたのを、すべて風が一掃しつくしてしまつた ◯秋かぜのみがきて出づる 風のためにすつかり空を磨いて美しくした秋風が吹いたのちに、端然たんぜんとして輝かしい月が美麗な姿を見せること ◯やまのはの月 山の一方から月がさしのぼる。

〔注意〕本御製ほんぎょせい文化ぶんか六年八月十八日の月次つきなみ御會ぎょかいのもので、御題ぎょだいには「山端月やまのはのつき」とあり、『公宴こうえん御會ぎょかい和歌』に見える。

【大意謹述】空のあちこちに見えた雲や霧をすつかりはらきよめてしまつた秋風が一わたり吹き終ると、磨かれた大空の一たんに、山のそばから皓々こうこうとした十八日の月が、美しい姿をあらはした。じつによいながめである。