65 第一囘勸業博覽會開場式ニ臨幸下シ給ヘル勅語 明治天皇(第百二十二代)

だいかい勸業かんぎょう博覽會はくらんかい開場式かいじょうしき臨幸りんこうくだたまヘル勅語ちょくご(明治十年八月二十一日)

【謹譯】ここ內國ないこく勸業かんぎょう博覽會はくらんかい開場かいじょうあたリ、ちんみずかのぞ開場かいじょうてんおこなフ。ちんおもフニ、會場かいじょう整備せいびセル、列品れっぴん良好りょうこうナルヤ、もっ知識ちしき開明かいめいおもむキ、工藝こうげいつき精巧せいこうすすムヲちょうスヘシ。しかシテ有司ゆうし勸奬かんしょうこうまたしょうナリトセス。ちんふかこれよろこフ。ちんさらのぞム、人民じんみん益々ますます奮勵ふんれいシ、產業さんぎょう益々ますます繁盛はんせいシ、全國ぜんこくヲシテなが殷富いんぷ幸福こうふくケシメンコトヲ。

【字句謹解】◯勸業博覽會 殖產しょくさん興業こうぎょう奬勵しょうれいするために行はれた博覽會はくらんかいのことをいふ。博覽會はくらんかいの三字は英語のExhibitionの譯語やくご學術がくじゅつ技藝ぎげい・農工・商業、その他人生百ぱんの事物を蒐集しゅうしゅう、陳列して衆人しゅうじん觀覽かんらんせしめる近代的設備 ◯開場ノ典 開場式 ◯整備 よく整つてゐる ◯列品 陳列されてある種々しゅじゅの物品 ◯開明 文明開化の意、進歩すること ◯精巧 製造品が精密せいみつ細巧さいこうなこと ◯徵スヘシ 證據しょうこてることが出來る ◯有司 その方面の役人 ◯勸奬ノ效 殖產しょくさん興業こうぎょうを盛大にするやうに諸方面に勸誘かんゆうした效果こうか ◯繁盛 盛大となる ◯殷富ノ幸福 國勢こくせいさかんとなり國民こくみんが富む幸福こうふく

〔注意〕內國ないこく勸業かんぎょう博覽會はくらんかいに就いての詔勅しょうちょくは、本勅ほんちょく以外おおせをはいすることが出來る。

(一)第一かい內國ないこく勸業かんぎょう博覽會はくらんかい閉場式へいじょうしき勅語ちょくご(明治十年十一月三十日)

(二)第二囘內國勸業博覽會開場式ノ勅語(明治十四年三月一日)

(三)第二囘內國勸業博覽會褒賞ほうしょう授與式じゅよしき勅語(明治十四年六月十日)

(四)第三囘內國勸業博覽會開場式ノ勅語(明治二十三年三月二十六日)

(五)第三囘內國勸業博覽會褒賞授與式ノ勅語(明治二十三年七月十一日)

(六)第四囘內國勸業博覽會褒賞授與式ノ勅語(明治二十八年七月十一日)

(七)第五囘內國勸業博覽會開場式ノ勅語(明治三十六年四月二十日)

【大意謹述】今、第一かい內國ないこく勸業かんぎょう博覽會はくらんかい開場かいじょうの日にあたり、ちんみずからその場に臨み、開場式を行ふことになつた。かえりみれば、會場かいじょう申分もうしぶんなく整頓されてゐること、陳列品が質も外見もよいこと、これらから我がくに科學かがく知識が日々に進歩し、工藝こうげいが月々に精密せいみつ細巧さいこうに進んでゐる事實じじつ證據しょうこてられると思ふ。その上、この方面の役人が殖產しょくさん興業こうぎょうを諸方面に勸誘かんゆうした效果こうかも、決して小さいとは言へない。朕は深くこれに滿足まんぞくする。朕はこの場に親臨しんりんして、更に次のことを望みたい。それはほかではなく、今後國民こくみん益々ますますこの方面に元氣げんきを出して熱心に努力し、我がくにの諸產業さんぎょうが一そう盛大となり、全國民が永久にあまりあるとみを持つ幸福こうふくを、その結果として、受けるべきことである。