70 帝都復興ヲ懌ヒ給ヘル勅語 今上陛下(第百二十四代)

帝都ていと復興ふっこうよろこたまヘル勅語ちょくご(昭和五年三月二十六日 官報

【謹譯】帝都ていと復興ふっこう事業じぎょうハ、官民かんみん協同きょうどう努力どりょくリ、歲月さいげつみじかキ、偉績いせきいたセリ。ちんふかこれよろこフ。ちんいましたシク市容しよう完備かんびおおい舊觀きゅうかんあらたムルヲテ、もっぱ衆心しゅうしんヲ一ニシ、さら市政しせい伸展しんてんいたサムコトヲのぞム。

【字句謹解】◯帝都復興 大正十二年の關東かんとう大震災につて破壞はかいされた首都東京は、直後から恢復かいふく事業に著手ちゃくしゅし、今や復興ふっこう事業が大體だいたい完成した ◯官民協同ノ努力 官吏かんりと民間とが力を共にして同一目的にせいを出す ◯偉績 帝都興復こうふく完成といふ偉大な功績 ◯市容ノ完備 帝都の樣子ようすが美しく、必要な設備が整つたこと ◯舊觀ヲ改ムル 以前の樣子ようすを一しんする ◯伸展 發展はってんの意。

【大意謹述】大正大震災に於いて損はれた帝都を再興さいこうするの事業は、官吏かんり及び民間の同一目的にたいする努力によりこれ程の短かい年月に、これだけの偉大な功績を示した。ちんはそれを心からよろこばしく思ふ。ちんは今、みずから帝都を巡視じゅんしして、その外觀がいかんが美しく、必要な設備が整ひ、以前の樣子ようすを全然一新したのを見て、この上共に市民が心を一にし、益々ますます東京市政しせい發展はってんさせん事を望む。

【備考】今上きんじょう陛下が、「さら市政しせい伸展しんてんいたサムコトヲのぞム」とおおせられた御言葉みことばについて、市政しせいあたるものは、深く恐懼きょうくしなくてはならぬ。東京市政しせい混濁こんだくと腐敗とは、あまりに有名である。これが肅正しゅくせいを期してつた議員の一ぱんも、ミイラ取りのミイラとなつた形で、いろいろの疑獄ぎごく續出ぞくしゅつする。その肅正しゅくせい實現じつげんはたして、いつの日になつたら、望むことが出來ようか。今後の議員は、陛下の御言葉おことば心肝しんかんめいじ、美しくほがらかな、きよ市政しせい實現じつげんすることに全力を注いでほしい。