12 官吏任用に就て群臣に下し給へる詔 天武天皇(第四十代)

官吏かんり任用にんようつい群臣ぐんしんくだたまへるみことのり(二年五月 日本書紀

夫初出身者、先令仕大舍人。然後選簡其才能、以充當職。又婦女者、無問有夫無夫及長幼、欲進仕聽矣。其考選准宮人之例。

【謹譯】はじめて出身みやづかえせむものは、大舍人おおとねりつかへしめよ。しかのち才能さいのう選簡え らみて、もっ當職そのしょくてよ。また婦女ふじょは、おっとあるとおっとなきと、およ長幼ちょうようふことなく、すすつかへむとほっするものをゆるせ。考選こうせん宮人みやびとれいしたがへよ。

【字句謹解】◯出身 仕官しかんの意 ◯大舍人 宮中きゅうちゅうでの雜事ざつじを致し、供奉ぐ ぶをする人々のしょう ◯當職に充てよ 適職に就けること ◯考選 過去の履歷りれきを調べ、さいしたがつてかんあたへること ◯宮人 官仕みやづかえする婦人の總稱そうしょう

【大意謹述】初めて宮中に仕官しかんする者は、雜役ざつえきをする大舍人おおとねりの地位に就かしめ、その間に才能の如何いかんを見て、それにふさはしい職を授けるがよい。又、婦人の場合は有夫ゆうふいなとを問はず、また年齡ねんれい如何いかんかかわらず、自分から進んで宮仕みやづかえしようと願ふものは、その望みをれよ。そして過去の履歷りれきを調べたり、才能におうじた地位をあたへたりすることは、一般の宮女きゅうじょの例にしたがへ。

【備考】官吏かんりの才能におうじて、それに適應てきおうした地位をあたへる事は、最も必要であるが、當局とうきょくの長官が十分の注意をしなければ、實現じつげん困難だ。天皇は、このてんに考へ及ばれ、官紀かんきを一新する意味において、長官らが以上のてん切實せつじつに考へ、その實現じつげんを可能ならしめるやう、注意せられた事と拜察はいさつする。新進しんしんは、これによつて、その才幹さいかん發揮はっきすべき機會きかいを平等にあたへられたのである。