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46-7 國難の平定を祈るの宣命 伏見天皇(第九十二代)

國難こくなん平定へいていいのるの宣命せんみょう(第七段)(正德六年七月 公卿勅使參宮次第)

掛畏皇大神、此狀聞⻝、形兆未見災糵、兵戈未起逆亂比氐天皇朝廷、寶位無動常磐、夜守日守護幸奉給、天下淳樸、海內淸平、護恤給倍止美毛申賜者久止申。

【謹譯】けまくもかしこ皇大神すめらおおかみさまたいらけくやすらけくきこしめして、形兆けいちょういまえざるに災糵さいげつはらひ、兵戈へいかいまおこらざるに逆亂ぎゃくらんおさたまひて、天皇すめら朝廷みかどを、寶位ほういうごきなく常磐ときわに、夜守よ も日守ひ もりにまもさきわまつたまひて、天下てんか淳樸じゅんぼくに、海內かいだい淸平せいへいに、まもめぐたまへとかしこかしこみももうたまはくともうす。

【字句謹解】◯形兆未だ見えざるに 形兆けいちょうは「かたち」と訓讀くんどくするらしいが、ここの文章は全然漢文かんぶんとしての對句ついくになつてゐるので、無理に和訓わくんしなくとも差支さしつかえはないと思ふ。以下同然である。目に見える災害があらはれない以前にの意 ◯災糵 げつは切り株から出た新芽の事、災害の萌芽ほうがをいつたものである ◯兵戈未だ起らざるに げん戰亂せんらん勃發ぼっぱつしない以前に ◯撥ひ給ひて をさめ除くこと ◯天下淳樸に 天下中が質素で少しの贅澤ぜいたくもなく ◯海內淸平に 日本全土が安穩あんのんに治まること。

【大意謹述】くちに致すのも恐れ多い大御神おおみかみかせられては、げんに直面した國難こくなんをありのままに御理解あり、今申し上げた御詞おんことばをその通りに受入れられて、未だ形をとつて目に見えない以前に災害の種を打ちはらはれ、未だ戰亂せんらんの起らない以前に國を害する異國人いこくじんを一そうされて、帝室ていしつの地位を微動だもさせず、朝廷を永久に堅固けんごに、晝夜ちゅうや加護か ごれ、幸福こうふくあたへられ、結果に於いて天下のすべての方面が質素に、日本國中が平穩へいおんに治まるやう御慈悲ご じ ひたまへ、以上この上もなく恐れつつしんでおおせられる大御言おおみことを今ここに告げたてまつる。