読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

46-4 國難の平定を祈るの宣命 伏見天皇(第九十二代)

國難こくなん平定へいていいのるの宣命せんみょう(第四段)(正德六年七月 公卿勅使參宮次第)

然而自今以後、廢乎毛、風、祖宗止志、帝王止志氐政令守可行義心、叡念志氐祈申、皇大神定靈けん、立止古呂爾冥助施給布倍志止所念行天奈牟

【謹譯】然而し かいまより以後い ごに、すたれるをおこえたるもぎて、ふううつぞくへて、祖宗そそうみちみちとし、帝王ていおうとくとくとして、政令せいれいまもおこなふべき義心ぎしんちかひ、叡念えいねんこらしていのもうさば、皇大神すめらおおかみさだめてれいけんをれ、ちどころに冥助みょうじょほどこたまふべしとおもほしてなむ。

【字句謹解】◯風を移し俗を易へて 現在の弊風へいふうを昔の良風りょうふうに移し、現在の世の有樣ありさを昔通り質素にへる ◯祖宗の道を道とし 祖先そせんの方々が定められた我が古神道こしんどうを、そのままこの世の指導精神せいしんとする ◯帝王の德を德とし 昔の帝王が持たれたとくを目標として進む ◯叡念を凝して 天皇が一心になられること ◯靈けんを垂れ 人間の及びもつかない御力おちからで援助される ◯冥助 神助しんじょと同じ。

【大意謹述】今迄とはことなり、今後は、すたれた祭祀さいしさかんにし、中止された美風びふうを復活したい。そして現在の弊風へいふうてて昔にふくし、世の有樣ありさを改革して、先祖せんぞの方々が定められた我が國固有の道を中心とし、昔の賢明な帝王が持たれたとくを目標として、國法こくほうを守り、行はなければならない。名分めいぶんを明らかにして、ちんみずから一心になりいのり申したならば、大御神おおみかみも必ずや人間の持つ以上の力で御加護ご か ごれ、ただちに神助しんじょを致したまふであらう。かく陛下は叡慮えいりょあらせられた。

【備考】本勅ほんちょくに「祖宗そそうみちみちとす」といふことをおおせられてゐるが、しんに時代の目ざめを促すについて、適切なおおせである。奈良時代以來、外來がいらい思想のために、紊亂ぶんらんされて、「祖宗そそうの道を道とする」といふことを閑却かんきゃくした氣味き みがある。神道しんどうを基本とし、政敎せいきょうむね祭政さいせいの方針を執り、祖先そせん崇拜すうはいの上に報本ほうほん反始はんしの美しい心を發揮はっきして來た特長は、いつの間にか、大方おおかた、消滅してしまつた。ここに一つの大きい缺陥けっかんよこたはつてゐる。陛下は、このてんに想ひ及ばれ、「祖宗そそうみち」の上に正しく生きてゆくことが、神國しんこく日本を護持ご じし、國威こくいを內外にあげる所以ゆえんであるとせられた。祖宗そそうの道にかえれ、祖宗そそうおしへに生きよ。これ陛下が國民に呼びかけられたたま御聲みこえだ。