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44-6 神人衆徒等の濫行停止の宣命 鳥羽天皇(第六十三代)

神人しんじん衆徒しゅうと濫行らんぎょう停止ていし宣命せんみょう(第六段)(天永四年四月 石淸水文書)

大菩薩、此狀之氐、神人濫行永停、禪侶惡事忽罷、社壇惟靜之天、蒸嘗禮永欽、精舍彌平之氐、顯密學中興之氐天皇朝廷、寶位無動常磐堅磐、夜守日守護幸奉賜、天下太平、寰國安穩護恤給美毛申賜波久止申。

【謹譯】大菩薩だいぼさつさまたいらけくやすらけくきこして、神人しんじん濫行らんぎょうながとどめ、禪侶ぜんりょ惡事あくじたちまめて、社壇しゃだんしずかにして、蒸嘗じょうしょうれいながつつしみ、精舍しょうじゃいやたいらかにして、顯密けんみつがく中興ちゅうこうして、天皇すめら朝廷みかどを、寶位ほういうごきなく常磐ときわ堅磐かきわに、夜守や も日守ひ もりにまもさきはへまつたまはく、天下あめのした太平たいへいに、寰國かんこく安穩あんのんまもあわれたまへとかしこかしこみももうたまはくともうす。

【字句謹解】◯永く停め 永久にとどめる意 ◯禪侶 僧侶そうりょのこと ◯社壇 神社じんじゃと寺院と ◯蒸嘗の禮 冬夏とうかに天地の神々を祭るれい ◯欽み 尊嚴そんげんを失はないこと ◯精舍 寺院のこと ◯顯密の學 佛敎ぶっきょう學問がくもんの意、けん顯敎けんぎょうのことで、天台てんだい華嚴けごんぜん淨土じょうどなどの諸宗しょしゅうの義、みつ密敎みっきょう眞言宗しんごんしゅうの義 ◯寰國 日本全土のこと。

【大意謹述】大菩薩だいぼさつには、以上の理由を十分に御理解あり、御機嫌よくきこしめして、神人しんじん國法こくほうみだ行爲こういを永久にとどめられ、僧侶そうりょ惡行あくぎょうただちに禁止させられ、寺社じしゃ共にしずかに、冬夏とうか天神てんじん地祇ち ぎを祭る大典たいてん久遠くおん尊嚴そんげんを失ふことなく、寺院をこの上一そう平和にさせられて、發達はったつおくれた佛敎ぶっきょう諸宗しょしゅう學問がくもんを今からおこし、天皇と朝廷とを天位てんいに微動もなく、永遠に堅固けんごであるやうに日夜守護して幸福こうふくあたへられんことを、又、日本全土が安穩あんのんとなるやうに御慈悲ご じ ひたまはんことを、この上もなく恐れつつしんで申し上げるとのおおせをここに告げたてまつる。