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44-4 神人衆徒等の濫行停止の宣命 鳥羽天皇(第七十四代)

神人しんじん衆徒しゅうと濫行らんぎょう停止ていし宣命せんみょう(第四段)(天永四年四月 石淸水文書)

自今以後、祭詞式日仁波、神輿不可奉動。又神境不得奉出。不由此旨之氐、非常、縱雖奉動、神不享非禮禮波、驚動給布故止之天、令勿影向、國家可存其由奈利。若禁制不從良武、緇素不謂、仁祠靈社等、任法罪科可行給喜奈利

【謹譯】自今じこん以後い ごは、祭詞さいし式日しきじつほかには、神輿みこしうごかしまつるべからず。また神境しんきょういだまつるをずし。むねらずして、非常ひじょうやからありて、たとうごかしまつるといえども、かみ非禮ひれいけざれば、おどろうごたまふことなくして、影向ようごうからざれ。國家こっかよしそんずべきなり。禁制きんせいむねしたがはざらむやからは、緇素し そはず、仁祠にんし禮社れいしゃとうつかさを、ほうまかせて罪科ざいかおこなたまふべきなり。

【字句謹解】◯非常の輩 禁制きんせいを守らない人々 ◯神は非禮を享けざれば かみはそれをけいする者が心から神にまこといたさなければ、ねがいを聞きとどけられない ◯影向 ほとけがこの世に身をあらわすこと、この場合は神佛しんぶつが人々のねがいを聞きとどける意 ◯緇素 神人しんじん僧侶そうりょと、墨色すみいろの意で墨染すみぞめころもそうのこと、白色はくしょくの意で、それを神官しんかんのこと ◯謂はず 區別くべつせず ◯仁祠禮社 寺社じしゃの意。

【大意謹述】今日こんにち以後は、一定の祭日以外には神輿みこしを動かすことを禁ずる、又、祭日にも定められたかみ區域くいきを出てはならない。この禁旨きんししたがはないで常識を備へてゐない者共ものどもが、まん神輿みこしなどを動かしたとしても、禮儀れいぎに合はない人物のねがいを神は聞きとどけられる筈もなく、決して驚きたまふこともない。この世に姿をあらわして效果こうかたまふことがなからう。我が國家もその事は十分承知して、その者共ものども强訴ごうそを採用するなどは致さない。それにもかかわらず、更に禁旨きんしを破れば、神人しんじんであると僧侶そうりょであるとを問題にせず、寺社じしゃの事務を直接管轄かんかつする者を、國法こくほうの示す通りに重罪にしょすることをここに誓言せいげんする。