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33 雨を祈るの勅 嵯峨天皇(第五十二代)

あめいのるのみことのり(大同四年七月 日本紀略

頃來亢旱爲灾、水陸焦枯。若非禱祈、何濟斯難。云々。宜國司齋戒、依例祈雨。云々。

【謹譯】頃來このごろ亢旱こうかんわざわいをなし、水陸すいりく焦枯しょうこす。禱祈とうきにあらざれば、なんなんすくはん。云々うんぬんよろしく國司こくし齋戒さいかいして、れいつてあめいのるべし。云々うんぬん

【字句謹解】◯亢旱 大旱だいかんと同じ、長い間少しも雨のないこと ◯灾をなし 諸方面に害を及ぼす ◯水陸焦枯す 河も陸地もすつかり枯れ切つた ◯禱祈 神々にいのる意、祈禱きとうと同じ ◯齋戒 身をきよめる。

〔注意〕自然科がくが未だ發達はったつしなかつた時代に於いて、天變てんぺん地異ち いの理由を知ることが出來ず、それを神々のしわざと考へてゐた當時とうじでは、何事に就けてもづ神にいのり、その不祥事ふしょうじを避けることが必要だつた。嵯峨さ が天皇御代み よには、本勅ほんちょく以外に

(一)祈雨き うみことのり(弘仁十年七月、日本紀略)がある。五こく成就じょうじゅいのりとして(二)名神めいしん奉幣ほうへいするのみことのり(弘仁元年七月、類聚國史)があり、平城へいじょう天皇御代み よには、次のようみことのりがある。(三)妖祥ようしょうのぞくのみことのり(大同元年八月、日本後紀

【大意謹述】近頃は非常に長い間雨がなく、諸方面に害を及ぼし、河は枯れ、陸地はげるやうである。このなんすくふのには、誠心まごころを致して諸神しょしんいのるより他に手段があらうか。云々うんぬんゆえしょ國司こくしに命じ、身をきよめて例の通り降雨こうういのらせるがよい。云々うんぬん