24-4 陸奥國より黄金を出せる時下し給へる宣命 聖武天皇(第四十五代)

陸奥むつのくにより黄金こがねいだせるときくだたまへる宣命せんみょう(第四段)(天平勝寶元年四月 續日本紀

是以朕一人夜波貴大瑞受賜。天下共頂受賜流自理可在、神奈我良念坐弖奈母、衆惠賜治賜、御代年號字加賜久止天皇大命、衆聞⻝宣。

【謹譯】もっあれ一人ひとりやはとうと大瑞おおきしるしをうけたまはらなむ。あめしたともいただきうけたまはりよろこばしむるしことわりなるべしと、かんながらもおもほしましてなも、もろもろめぐみたまひおさめたまひ、御代み よ年號もじくわへたまはくとりたまふ天皇すめら大命おおみことを、もろもろきこしめさへとる。

【字句謹解】◯やは 打ち消しの意味を含む反語 ◯大瑞 目出度め で たい現象、陸奥むつのくにから黄金が產出さんしゅつしたこと ◯神ながらも 天皇御事おんこと ◯御代の年號に字加へたまはく 天平てんぴょうといふ年號ねんごう感寶かんぽうの二字を加へられた事をいふ。この改元かいげんは四月十四日に行はれたが、間もなく天皇崩御ほうぎょあそばされ、孝謙こうけん天皇卽位そくいされて天平てんぴょう勝寶しょうほう改元された ◯ 神佛しんぶつをはじめ前にある皇后・皇太子・諸王・諸臣のこと。

【大意謹述】以上は元々薄德はくとくちんに特別の御加護ご か ごを以てあたへられた幸福こうふくではあるが、この目出度め で たとうといものを朕だけが受けることは出來ない。天下の一同と共に幸福をけ、心からの滿足まんぞくあじはせるのが正しい道であると考へる。この上一そう人々に恩惠おんけいれ、平和に天下を治めるこころざしを保つと共に天平てんぴょうといふ御代み よ年號ねんごう感寶かんぽうの二字を加へたいと思ふ。以上天皇大御言おおみことを、人々一同及び神佛しんぶつにもお聞きとどけあるやうにしん乙麿おとまろから申し上げる。