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24-2 陸奥國より黄金を出せる時下し給へる宣命 聖武天皇(第四十五代)

陸奥むつのくにより黄金こがねいだせるときくだたまへる宣命せんみょう(第二段)(天平勝寶元年四月 續日本紀

加久治賜惠賜來天日嗣、今皇朕御世坐者、天地、聞⻝⻝國東方、陸奥小田郡金出在禮利

【謹譯】かくおさめたまひめぐみたまひ天日嗣あまつひつぎわざと、いますめら御世み よあたりてませば、天地あめつちこころいとわしみいかしみかたじけなかしこいますに、きこしめす⻝國おすくにひがしかた陸奥みちのくくに小田お だこおりくがねでたりともうしてたてまつれり。

【字句謹解】◯今皇朕が御世 現在統治される聖武しょうむ天皇御代み よ ◯天地の心を勞しみ 天地の神々が天皇に同情されること ◯重しみ いつくしみの意で、やんごとなく重大に思ふこと。

【大意謹述】このやうに御先祖ごせんぞ以來いらい、國民を平和に治め恩惠おんけいれられて來た天皇御位みくらいたてまつつて、今、ちん御世み よになつたのであるから、天地の神々は朕に同情され、朕もまたその敎戒きょうかいとうとんで、有難く受け、萬事ばんじつつしんでゐると、今囘こんかい、朕が統治せる日本の東方にあた陸奥みちのく小田郡おだごおりから黄金こがね產出さんしゅつしたとのほうがあり、やがてそれが獻上けんじょうされた。

【備考】當時とうじ大佛だいぶつ鑄造ちゅうぞうは出來たが、塗金ときんに不足した。このてんについて、聖武しょうむ天皇は、すくなからず、大御心おおみこころを痛められたのである。かうした折柄おりから陸奥みちのくから黄金こがね獻上けんじょうしたことは、天皇叡感えいかんり、からず御悅およろこびになつた。それをたてまつつたのは百濟王くだらのこにきし敬福きょうふくで、天皇は、特にれにじゅを授けられた。當時とうじ天皇はかうした現象を一にほとけ冥助めいじょによると固く信ぜられたので、ほとけ崇拜すうはいする感情を高潮こうちょうされた。その結果、大安だいあん藥師やくし元興がんごう興福こうふく東寺とうじの五あしぎぬ五百ぴき綿わた一千とん・布一千たんいね萬束まんぞく墾田地こんでんちちょうづつを寄進され、法隆寺ほうりゅうじその他のしょ大寺だいじにも同樣どうよう施入せにゅうをなされたのである。