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68-3 陸海軍軍人ヘノ勅語 今上天皇(第百二十四代)

陸海軍りくかいぐん軍人ぐんじんヘノ勅語ちょくご(第三段)(昭和元年十二月二十八日 官報

【謹譯】汝等なんじら軍人ぐんじんちんたいシ、先朝せんちょう訓諭くんゆ遵由じゅんゆシ、つまびらか宇內うだい大勢たいせいさっシ、ふか時世じせい推移すいいかんがミ、切瑳せっさ砥礪ていれい愈々いよいよ操守そうしゅかたクシ、一奉公ほうこう至誠しせいぬきんテ、もっ宏猷こうゆう扶翼ふよくセムコトヲセヨ。

【字句謹解】◯遵由 したがつて守る ◯宇內ノ大勢 世界の大體だいたいの動きと有樣ありさ ◯時世ノ推移 時代の變遷へんせん ◯切瑳砥礪 懸命けんめいになつて自己をみがくこと ◯操守 軍人として守らなければならない節操せっそうを守る。これは例の五箇條かじょうの軍人精神せいしんを指したのである ◯一意 他の何事をも考へないで、それのみに心を向ける ◯奉公ノ至誠 君國くんこくつくまことの心 ◯宏猷 皇室に御大計おんたいけいの意で、萬世ばんせいけい天皇もと道義どうぎ建國けんこく精神せいしんを守り、國運こくうん發展はってんをはかること ◯扶翼 輔佐ほ さする。

【大意謹述】汝等なんじら軍人は以上述べたちん氣持きもちをよく了解し、明治天皇大正天皇御訓諭ごくんゆを守り、詳細に世界の動きを考へ、時代の變遷へんせんを深く考慮して、懸命になつて自己をみがいてほしい。かくして軍人精神せいしんを一層固く持ち、ただ一しん君國くんこくつくまことの心をあらはし、我が皇室の大計たいけい輔佐ほ さし完成させる覺悟かくごがなければいけない。

【備考】ここに「宇內うだい大勢たいせいヲ察シ、深ク時世ノ推移ニかんがミ、切瑳せっさ砥礪ていれい愈々いよいよ操守そうしゅかたクシ」とおおせられてゐることは、深く肝銘かんめいすべきである。時代は動く、したがつて軍人の時勢の趨向すうこうをよく理解し、保守に流れ、頑固におちいつてはならない。けれども、輕薄けいはくな風潮に左右されて、在來ざいらい美點びてん閑却かんきゃくするやうなことは、だんじてあつてはならぬ。忠孝ちゅうこうぽんの意義を體得たいとくし、道義どうぎ建國けんこくの大方針を奉じ、世界の大局たいきょくをつけて、日本の進運に先驅せんくすべき用意を必要とする。これすなわち陛下の思召おぼしめしまっとうする所以ゆえんである。