67-4 世界大戰ニ就テ平和克復ノ大詔 大正天皇(第百二十三代)

世界せかい大戰たいせんつい平和へいわ克復こくふく大詔たいしょう(第四段)(大正九年一月十日 官報

【謹譯】ちんひさし友邦ゆうほうとも和平わへいよろこびリ、休明きゅうめいたくおなじセムコトヲシ、ちん忠良ちゅうりょうナル臣民しんみんノ一協力きょうりょく倚藉いしゃシ、衆庶しゅうしょ康福こうふく充足じゅうそくシ、文明ぶんめい風化ふうか廣敷こうふシ、益々ますます祖宗そそう洪業こうぎょう光恢こうかいセムコトヲ庶幾こいねがフ。なんじ臣民しんみんちんむねたいセヨ。

【字句謹解】◯友邦 友誼國ゆうぎこくのこと、友人としての交際を國と國との間に致してゐる國々 ◯和平ノ慶ニ賴リ 和平わへいは平和のこと、けいはよろこび ◯休明 おおいに明らかなこと ◯倚藉シ たよりにすること ◯衆庶ノ康福 全國民の幸福こうふくの意 ◯充足 充分に滿たす ◯文明ノ風化 文化の進むにしたがつて享受きょうじゅ出來るいろいろな幸福こうふくのこと ◯廣敷 ひろく多方面にほどこすこと ◯祖宗ノ洪業 祖先の開いた大業たいぎょう ◯光恢 より以上に盛大にする ◯朕カ旨 本詔ほんしょうはっした理由。

【大意謹述】ちんは常に長く友情關係かんけいにある各國と共に、世界平和の喜びを共にし、その大きく明かな恩澤おんたくよくしたいと考へるが、その望みは朕のみの努力で達せられるものではない。ゆえに朕の忠良ちゅうりょう臣民しんみんことごとこころざしを同じうして力を合はせるであらうことを期待する。それにつて全國民の各方面に於ける幸福こうふくが十分に滿たされ、文化の進歩にともな社會的しゃかいてきな便利さが人々にひろく及び、この上一層、我が御祖先ごそせんの開かれた大業たいぎょう光輝こうきし、規模を盛大にするやう切望してまない。汝等なんじら臣民しんみんは、朕が本詔ほんしょうはっした理由と、國民に望む所以ゆえんとをく理解してこれ實現じつげんしてほしい。

【備考】世界大戰たいせんは、ヨオロツパ文化の頽廢たいはい行詰ゆきづまりと缺陥けっかんとを露骨ろこつにさらけ出した。その病的現象の餘波よ はは、今もヨオロツパに見られる。日本は文化の上において、今やヨオロツパを指導し、世界の平和に貢獻こうけんすべき一大使命をになつてゐる。本詔ほんしょうは切にそれについての自覺じかくうながたまうたのである。