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53-4 陸海軍軍人ニ下シ給ヘル勅語 明治天皇(第百二十二代)

陸海軍りくかいぐん軍人ぐんじんくだたまヘル勅語ちょくご(第四段)(明治二十八年五月十三日 官報

【謹譯】ちんいま淸國しんこくこうシ、汝等なんじらとも治平ちへいけいラムトス。おもフニ軍隊ぐんたい名譽めいよ帝國ていこく光榮こうえいともニ、汝等なんじら責務せきむおもカラシム。ちんあがリテ汝等なんじらほまレヲともニスルヲたのしムトいえどモ、邦家ほうか前程ぜんていなお遼遠りょうえんナリ。汝等なんじらちん訓諭くんゆ遵奉じゅんぽうシ、とどまリテ隊伍たいごルモノトさんシテ郷關きょうかんかえルモノトニろんナク、五服膺ふくようシテ軍人ぐんじん本分ほんぶん恪守かくしゅシ、一せいもっ他日たじつ報效ほうこうセヨ。

【字句謹解】◯治平ノ慶ニ賴ラムトス 平和の恩澤おんたくよくしようとしてゐる ◯責務 責任と義務と ◯維レ揚リ これは意を强める助字じょじ、我が勇武ゆうぶの名が海外にひろまること ◯邦家ノ前程 國家の前途 ◯遼遠 非常に遠いこと ◯遵奉 したがひ守る ◯隊伍ニ在ルモノ 今後も同じやうに軍隊中にとどまる者 ◯郷關ニ歸ルモノ 生れ故郷にかえる者、前者は主として將校しょうこうを意味し、後者は主として兵卒へいそつを指された大御言おおみことばである ◯五事 軍人精神せいしんの五箇條かじょうのこと、すなわ忠節ちゅうせつ禮義れいぎ武勇ぶゆう信義しんぎ質素しっその意 ◯恪守 よく守る ◯一誠 一の誠心まごころ。五を貫く根本となるもの ◯他日ノ報效 他日たじつ有事ゆうじの際、國恩こくおんに報じ功績をあらはすこと。

【大意謹述】ちんは現在淸國しんこく講和こうわ條約じょうやく締結ていけつし、汝等なんじら軍人と共に平和の恩惠おんけいにあづからうとしてゐる。かえりみるに軍隊の名譽めいよは常に帝國ていこく光輝こうきそろへる以上、汝等なんじら軍人の責任と義務とは非常に重い。朕は戰勝せんしょうの結果、我國わがくに武名ぶめいが世界にひろがり、汝等なんじらと一緒に名譽めいよある日本國家の有樣ありさ衷心ちゅうしん、喜んでゐるが、我が前途を考へるとまだまだ幾多いくた難關なんかんが横はつてゐることが想像出來る。ここに於いて汝等なんじら軍人は十分に朕の敎戒きょうかいを守り、今後依然いぜんとして軍隊にとどまる者と、隊を散じて故郷にかえる者との別なく、五箇條かじょう敎訓きょうくんを日々身につけて行ひ、軍人の本分ほんぶんをよく守つて動かず、以上五を貫いてゐる根本、まことの心を中心として、他日たじつ有事ゆうじの際、國恩こくおんに報じ功績をつくすだけの覺悟かくごを持たなければならない。