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53-1 陸海軍軍人ニ下シ給ヘル勅語 明治天皇(第百二十二代)

陸海軍りくかいぐん軍人ぐんじんくだたまヘル勅語ちょくご(第一段)(明治二十八年五月十三日 官報

【謹譯】

ちん親愛しんあいスル帝國ていこく陸海りくかい軍人ぐんじんク。

ちん兵馬へいば大權たいけんヘ、明治めいじ十五ねん陸海りくかい軍人ぐんじんせいほぼツニイテ、汝等なんじら軍人ぐんじん精神せいしん箇條かじょう訓諭くんゆシ、忠節ちゅうせつ禮儀れいぎ武勇ぶゆう信義しんぎ質素しっそつらぬクニ一せいもっテスヘキコトヲケタリ。ちん汝等なんじら訓諭くんゆスルノ殷切いんせつナリシモノ、まこと汝等なんじらもっちん股肱ここうたのメハナリ。

【字句謹解】◯親愛スル 血族の者と同樣どうように限りなく愛する意 ◯兵馬ノ大權ヲ統ヘ 日本の武權ぶけんを一手に握ること。王制おうせい復古ふっこ以來、過去に於いて將軍しょうぐんぞくしてゐた武權ぶけん天皇御手み てつて統一された意 ◯ 制度 ◯貫クニ一誠ヲ以テス 軍人精神せいしんの五箇條かじょうまことといふ一つのものに綜合そうごうされること。〔註一〕參照 ◯殷切 いん慇懃いんぎんせつ切實せつじつの意、丁寧に正しく敎戒きょうかいする ◯股肱ト賴メハナリ 自分の手足の如く信賴しんらいするからである。

〔註一〕貫クニ一誠ヲ以テス 明治十五年の勅諭ちょくゆには、五箇條かじょう說明せつめいしたのちに、「右ノ五箇條かじょうハ軍人タラムモノしばらくゆるがせニスヘカラス。サテこれおこなハンニハ、一ノ誠心まごころコソ大切ナレ。そもそノ五箇條かじょうカ軍人ノ精神せいしんニシテ、一ノ誠心まごころまた箇條かじょう精神せいしんナリ。こころまことナラサレハ如何い かナル嘉言かげん善行ぜんこうみなウハヘノ裝飾そうしょくニテ何ノようニカハ立ツヘキ。こころタニまことアレハ、何事モルモノソカシ」とおおせられてゐる。

〔注意〕本勅ほんちょくは『陸海軍軍人ニ下シ給ヘル勅諭ちょくゆ』(明治十五年一月四日、法規分類大全)と關係かんけいする所が多い。又、日露にちろ戰後せんごたまはつた『陸海軍軍人ニ下シ給ヘル勅語ちょくご』(明治三十八年十月十六日、官報)とぼ同性質なものである。

【大意謹述】ちんは今、朕の最も親しく愛する我が帝國の陸海軍軍人に次のことを告げ知らせたいと思ふ。王制おうせい復古ふっこ以後、朕は我が武權ぶけんを一切統率し、明治十五年に陸海軍軍人にかんする種々しゅじゅの制度が大體だいたい立つに及んで、汝等なんじらたいして忠節ちゅうせつ禮義れいぎ武勇ぶゆう信義しんぎ質素しっその軍人精神せいしん箇條かじょうかんしておしいましめ、その五箇條かじょうの根本となり、五箇條かじょうを成立させるものは心のまことである旨を告げた。當時とうじ、朕が汝等なんじら軍人に丁寧に正しくき聞かせたのは、じつに朕が汝等を自分の手足のやうに信賴しんらいしてゐるからにほかならなかつた。

【備考】日淸にっしん戰爭せんそうの勝利は大元帥だいげんすい陛下へいか御稜威み い づによるが一つは全國民が陛下に忠誠ちゅうせいを捧げ、軍隊が軍人勅諭ちょくゆの旨をたいして、到るところ、元氣よく立ち働き、その生命を國家のためおしまなかつたによる。すなわち彼等は、戰場せんじょうにおいて忠節ちゅうせつ發揮はっきし、武勇ぶゆう發揮はっきし、武勇ぶゆう信義しんぎ禮義れいぎ質素しっそ諸德しょとく如實にょじつに示した。それは、彼等が、一せいを以て、終始したによる。かの昭和に於ける滿洲まんしゅう事件に於ても、かうした精神せいしんは、到るところに發露はつろし、內外の歎賞たんしょうを得た。要するにそれは、古來の武士道に感化され、愛國の至情しじょう陶冶とうやされたてんに負ふところあるにもせよ、軍人勅諭ちょくゆ拜讀はいどくして、これを心にめいじ、身に行はうと、平生へいぜいから、心がけてゐるめにほかならなかつたと拜察はいさつする。