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42 大阪臨時病院ニ臨幸院長石黑忠悳ニ下シ給ヘル勅語 明治天皇(第百二十二代)

大阪おおさか臨時りんじ病院びょういん臨幸りんこう院長いんちょう石黑いしぐろ忠悳ちゅうとくくだたまヘル勅語ちょくご(明治十年三月三十一日)

【謹譯】病者びょうしゃちんのぞムヲテ、ことさラニ正坐せいざ平伏へいふくスルものアリ、敬禮けいれいスルカためそう疼痛とうつうスコトアラハ、ちんほっセサルところナリ。なんじヨク患者かんじゃヲシテたいセシメヨ。

【字句謹解】◯大阪臨時病院 西南せいなんえきに際して大阪に置かれた臨時の病院 ◯ラニ 無理に ◯正坐平伏 正しくして頭を下げる ◯ 負傷した部分 ◯疼痛ヲ增ス 傷の痛みをす ◯朕カ欲セサル所ナリ ちんは決して、それ程にまでして敬禮けいれいされたくはないとの意 ◯患者 病者。

【大意謹述】ちんが大阪臨時病院におもむいた時、病人の全部は、朕の姿を見ると無理に正しくし、頭を下げた。し朕に敬禮けいれいすることが、負傷した部分の苦痛をす原因とならば、朕はむしろ朕にたいする敬禮けいれい粗略そりゃくにしても、病者の苦痛をさない方をねがふのである。なんじは病者一同に朕のこの氣持きもちつたへ、今後無理な敬禮けいれいは不必要である旨を理解させるがよろしい。

【備考】この勅語ちょくごに接して當時とうじの患者は皆感極かんきわまつたとつたへられてゐるが、今日こんにちからでも陛下の御心みこころはいたてまつつて一奉公ほうこうを願はない者はない。西南せいなんえきに於て、十年九月二十五日に、『征討せいとう總督宮そうとくのみやニ下シ給ヘル勅語ちょくご』などを拜讀はいどくすると、我等は大御心おおみこころが常に蒼人草あおひとぐさの上にあつた事實じじつを知り、日本國民としてこの世に生れた幸福感をあじわふと共に、非常時に於ける報國ほうこく覺悟かくごを定めなければならない。