読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

22-3 北陸道に警虞を命ずるの勅 光仁天皇(第四十九代)

北陸道ほくりくどう警虞けいぐめいずるのみことのり(寶龜十一年七月 續日本紀

其の三

軍所集處、預立標榜、宜量地勢、務得便宜。兵士已上、及百姓便弓馬者、量程遠近、結隊分配、不得臨事彼此雜亂。

【謹譯】ぐんあつめらるるところは、あらかじ標榜ひょうぼうて、よろしく地勢ちせいはかり、つとめて便宜べんぎべし。兵士へいし已上いじょうおよ百姓ひゃくせい弓馬きゅうば便たくみなるものは、遠近えんきん量程りょうていし、たいむすんで分配ぶんぱいして、ことのぞんで彼此ひ し雜亂ぞうらんするをざれ。

【字句謹解】◯軍の集めらるる處 軍隊の集合する場所 ◯標榜 立て札 ◯兵士已上 已上いじょうは以上と同じ ◯弓馬に便なる者 武藝ぶげいに達者な人、當時とうじ戰爭せんそうは未だ射戰しゃせんを主としたので、弓を射ること、馬を上手にりこなすことが、武藝ぶげい肝要かんようとなつてゐた ◯遠近を量程し 距離の遠近をよく計算して、何處ど こに賊が來てもただちに救援におもむけるやうにすること ◯分配 諸處しょしょ分置ぶんちする ◯事に臨んで 敵が來襲らいしゅうした時にあたつて ◯彼此雜亂 いろいろな救援隊が四方から集つて混雜こんざつする。

【大意謹述】軍隊が平常集ることになつてゐる場所は、前以て立て札をし、地勢上ちせいじょう最も便利の多い地點ちてんえらみ、實用じつように役立つのを第一とする。兵士以上の者、及び一般人民中で射騎しゃきちょうじたものは、距離の遠近をよく測つた上で、要處ようしょ々々に分隊を配置し、敵が來た時には必ず責任ある一分隊ぶんたいが救援におもむくやうにして、諸方から一時に出かけて混雜こんざつするやうなことがあつてはならない。