18-6 惠美押勝誅伐の詔 淳仁天皇(第四十七代)

惠美押勝えみのおしかつ誅伐ちゅうばつみことのり(第六段)(天平寶字八年九月 續日本紀

復勅、天下人誰不在安良武。心淨久之天仕奉良武(此)朕臣仁方。夫人止之天先祖興繼比呂米武止不念阿流方不在。是以心以仕奉乎方、氏氏門多末方須、治賜勅御命諸聞食宣。又勅、仕奉狀冠位阿氣賜治賜久止宣。

【謹譯】のりたまわく、天下あめがしたひとだれきみやっこにあらずあらむ。こころきよくしてつかたてまつらむこれまことちんやっこにはあらむ。ひととしておの先祖せんぞおこぎひろめむとおもはずあるはあらず。ここもっあかきよこころもっつかたてまつるをば、氏氏うじうじもんちたまはず、おさたまはむとのりたま御命おおみこともろもろきこしめさへとる。またのりたまわく、つかたてまつさましたがひて冠位かかふりくらいあけたまおさたまはくとる。

【字句謹解】◯興し繼ぎひろめむ この時代の人々に知らせ、自分が後繼者こうけいしゃである名譽めいよを世間にひろめる ◯明く淨き 明るくほがらかでけがれのない意、これは我が神道しんどうの中心思想で、やがて日本精神せいしんの一象徵しょうちょうといはれてゐる ◯氏氏の門 各うじの血統 ◯冠位あけ賜ひ 守屋大連もりやのおおむらじと同じ權力けんりょくすなわ攝政せっしょう同樣どうようの地位に就かせる。

【大意謹述】更に諸神しょしんたいして次のやうに宣言する。天下中の人は一人ものこらずちんしんである。心にけがれた部分がなく、誠心まごころを以てつかへるのこそ、じつに朕の臣として申し分のない人物ではあるまいか。一たい、人間としてこの世に生れて來た以上、自分の先祖の名を當世とうせいの人々に知らしめ、その後繼者こうけいしゃとしての名譽めいよを世にひろめたいと願はない者はあるまい。ゆえ明朗めいろうで心中にけがれのない氣持きもちを中心として朝廷につかへれば、各うじの子孫はえることはないと言はれることを諸神しょしんも御承知下さるやうに祈り申す次第である。又道鏡どうきょう始め一同の者も奉仕の成績によつて、このらんしずまつたのちには、道鏡どうきょうには祖先と同じ權力けんりょくを、の者にも相當そうとうの地位を授けることを神前しんぜんに誓ふのである。