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18-4 惠美押勝誅伐の詔 淳仁天皇(第四十七代)

惠美押勝えみのおしかつ誅伐ちゅうばつみことのり(第四段)(天平寶字八年九月 續日本紀

之可之久、此禪師晝夜朝廷護仕奉流仁、先祖大臣止之天仕奉位名在人奈利止、退賜之可止毛、此禪師、至御法繼隆武止念行末之、朕乎毛導護末須。己師乎夜多夜須退末都良武止在都。

【謹譯】てしかもうししく、禪師ぜんじ晝夜ひるよる朝廷みかどまもつかたてまつるをるに、先祖とおつみおや大臣おおおみとしてつかたてまつりし位名くらいながむとおもひてあるひとなりといひて、退しりぞたまへともうししかども、禪師ぜんじおこないるに、いたりてきよほとけ御法みのりひろめむとおもほしまし、ちんをもみちびまもります。おのをやたやすく退しりぞけまつらむとおもひてありつ。

【字句謹解】◯しか奏ししく 道鏡どうきょうを退けたまへとそうしたこと ◯此の禪師 弓削道鏡ゆげのどうきょうのこと。禪師ぜんじとは禪定ぜんじょう宗師そうしの義で、高僧こうそうあがめていふ語 ◯先祖の大臣として 道鏡どうきょうの先祖に就いて、『姓氏錄しょうしろく』には弓削宿禰ゆげのすくねとあり、『三代實錄だいじつろく』には弓削連ゆげのむらじかむ饒速日命にぎはやひのみこととある。いずれも物部もののべ守屋大連もりやおおむらじのこと。後世は大連おおむらじをも大臣だいじんしょうした ◯位名 宮中の位と職との意 ◯繼がむと念ひて 先祖である守屋大連もりやおおむらじ位名いめいいで大臣になる野心がある意 ◯たやすく はばかることなくの意。

【大意謹述】その上、仲麻呂なかまろ道鏡どうきょうに就ても讒言ざんげんし、この高僧こうそう晝夜ちゅうや朝廷みかどつかへ、天皇まもたてまつつてゐる樣子ようすを見るのに、その祖先の守屋もりや大連おおむらじの地位に居て奉仕したと同じ地位、同じ職にならうとする野心があるといひ、君側くんそくから退けられんことを願つた。しかちんは決してそのやうにないのである。朕がこの高僧のおこないたところでは、この上もなく淸淨しょうじょうで、ほとけ御敎みおしえをそのままひろいでさかんにしようと考へ、朕を導き、後世ご せ安樂あんらくいてくれるとしか思へない。仲麻呂なかまろは朕が朕のをもはばからずに、輕率けいそつに退けると考へたのだらうか。仲麻呂なかまろと所見をことにする以上、退ける理由はないから、朕はその言葉にしたがはなかつた。