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62-7 日露講和成立ノ際下シ給ヘル詔勅 明治天皇(第百二十二代)

日露にちろ講和こうわ成立せいりつさいくだたまヘル詔勅しょうちょく(第七段)(明治三十八年十月十六日 官報

【謹譯】おもフニ世運せうん進歩しんぽ頃刻けいこくマス、國家こっか內外ないがい庶務しょむハ、一にちおこたりナカラムコトヲようス。偃武えんぶもとますます兵備へいびおさメ、戰勝せんしょういよいよ治敎ちきょうリ、しかシテのちはじめ國家こっか光榮こうえい無疆むきょうたもチ、國家こっか進運しんうん永遠えいえん扶持ふ じスヘシ。

【字句謹解】◯世運 時勢じせいのこと、社會しゃかい全般の形勢を指す ◯頃刻息マス 少しの間も一場所にとどまつてはゐない。頃刻けいこくは短かい時間 ◯庶務 各種の事務 ◯偃武ノ下 平和の間。えんせる。武器をせることで、平和のこと ◯治敎ヲ張リ 國民敎化きょうかつとめる ◯無疆 限りなき事 ◯進運 進歩發展はってんするいきおい ◯扶持 努力して持ちこたへる。

【大意謹述】かえりみれば社會しゃかいの形勢は時と共に進歩し、少しの間も一場所にとどまつてゐない。この國運こくうんの進歩に歩調を合せて行くには、國家の內治ないじ・外交にかんする各種のつとめを一日もおこたつてはならないと考へる。平和が囘復かいふくしても兵備は一層完全にし、たたかいに勝つたのちも特に心の緊張をゆるめず、いよいよ國民敎化きょうかに力を入れる事が肝要かんようである。かく十分な用意が出來てこそ、始めて申分なく國家の名譽めいよを永く保ち、永久に若々しい、進歩する國のいきおいを維持してゆけるのである。