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53 東京大學醫學部開業式ノ勅語 明治天皇(第百二十二代)

大日本詔勅謹解2 道德敎育篇

東京とうきょう大學だいがく醫學部いがくぶ開業式かいぎょうしき勅語ちょくご(明治十二年四月二十二日)

【謹譯】

人生じんせいたっとところノモノハ身體しんたい健全けんぜんニシテ、これ保護ほ ごスルノ根基こんき醫學いがくラサルハナシ。かつこの學部がくぶもうけアル所以ゆえんナリ。いまその校舍こうしゃ經營けいえいシ、その基模き ぼ恢宏かいこうニス。ちんみずかのぞンテ開業かいぎょうてんク。自今じこんますます斯學しがく隆昌りゅうしょうナランコトヲのぞム。

【字句謹解】◯根基 根本と同じ ◯基模 基礎となる校舍の設備、敎員の配置、その他萬端ばんたんの用意を指す ◯恢宏 大きくひろげる意 ◯隆昌 盛んになる。

〔注意〕開校式に臨御りんぎょされた時たまはつた勅語ちょくごは、さき開成かいせい學校がっこう學習院がくしゅういんあり、今囘こんかいのもの以外にも左の如くおおいだされてゐる。

(一)『駒場こまば農學校開校式ノ勅語ちょくご』(明治十一年一月二十四日)/(二)『陸軍士官しかん學校開校式ノ勅語』(明治十一年六月十日)/(三)『工部こうぶ大學校開校式ノ勅語』(明治十一年七月十五日)

【大意謹述】人間の一生で最もとうといものは健康で元氣一ぱいの身體しんたいであり、その身體しんたいを病魔に捕へられぬやう保護する根本はすべ醫學いがくの力に求めなければならない。醫學部いがくぶを大學の一部門として設立した意味は、全くここにあつた。今、その校舍の工事を終り、諸般しょはんの設備を一層大きくして、今日こんにちちんみずから席に臨んで始業式をげることになつた。朕は今後益々ますますこの學問が盛大になり、一人でも多くの國民を救ふことを望んでやまない。