読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

44-2 華族ヲ召シ給ヒテ留學及海外周遊ヲ奬勵スルノ勅語 明治天皇(第百二十二代)

華族かぞくたまヒテ留學りゅうがくおよび海外かいがい周遊しゅうゆう奬勵しょうれいスルノ勅語ちょくご(第二段)(明治四年十月二十二日 太政官日誌)

【謹譯】とく華族かぞく國民こくみんちゅう貴重きちょう地位ち いリ、衆庶しゅうしょ屬目しょくもくスルところナレハ、その履行りこうもとよ標準ひょうじゅんトナリ、一そう勤勉きんべんちからいたシ、率先そっせんシテこれ鼓舞こ ぶセサルヘケンヤ。そのせめタルヤまたおもシ。これ今日こんにちちん汝等なんじらシ、したしちん期望きぼうスルところクル所以ゆえんナリ。

【字句謹解】◯華族 こうこうはくだんしゃくある者の總稱そうしょう ◯屬目 注意の中心となること ◯履行 行動や態度 ◯標準 一定の目安 ◯率先 人々に先んじて事を行ふ ◯鼓舞 元氣をあたへる、華族かぞくが好い模範を示して人民を指導する意 ◯期望する所 望みねがふてん。文明國として諸外國と歩調を合すこと。

【大意謹述】ちんは以上の覺悟かくごを國民全般に求めたいのだが、その方法として特に華族かぞくの地位にある人々に一げんちんの意を告げ知らせたい。本來、華族は國民中でも地位は高く位はたっとい。したがつて者共ものどもの注目の的となつてゐるから、平常の態度なり、事に臨んでの行爲こういは一々全國民に影響する。すなわち國民の規準となつてゐるといつても大過たいかはないと思ふ。ゆえにこの際、特に熱心に眞面目ま じ めに各人が全力をつくし、國民に先んじて好い模範を示し、それらを指導しなければならない。かう考へると華族かぞくの責任はすこぶる重い。ちんはこのてんを深く考へたからこそ、本日汝等なんじら召集しょうしゅうし、みずから朕の希望する目的にいて語るのである。

【備考】華族かぞくは、明治時代に於ける臣民しんみん階級の一つで、皇族に次ぐ名譽めいよの地位を占め、士族しぞくよりも一段、上位にある。明治二年六月、公卿く げ及び諸侯のしょうはいしたとき、それらを華族改稱かいしょうし、同四年、華族(武家)を東京府貫屬かんぞくとした。