44-1 華族ヲ召シ給ヒテ留學及海外周遊ヲ奬勵スルノ勅語 明治天皇(第百二十二代)

華族かぞくたまヒテ留學りゅうがくおよび海外かいがい周遊しゅうゆう奬勵しょうれいスルノ勅語ちょくご(第一段)(明治四年十月二十二日 太政官日誌)

【謹譯】ちんおもフニ宇內うだい列國れっこく開化かいか富强ふきょうしょうアルものみなその國民こくみん勤勉きんべんちからラサルナシ。しかシテ國民こくみんひらさいみがキ、勤勉きんべんちからいたものハ、もとよその國民こくみんタルノ本分ほんぶんつくスモノナリ。いま我國わがくに舊制きゅうせい更革こうかくシテ、列國れっこく幷馳へいちセントほっス。國民こくみん勤勉きんべんちからつくスニあらサレハ、なにもっこれいたスコトヲンヤ。

【字句謹解】◯宇內列國 世界中の萬國ばんこく ◯開化富强 開化かいかは各國と通商を自由にして文化を取り入れること、富强ふきょう所謂いわゆる富國ふこく强兵きょうへいの意 ◯更革 改革と同じ ◯幷馳 ならんで進み、いきおいを競ふこと。

【大意謹述】現在、世界各國の樣子を見るに、から文明國としょうせられ、あるいは國富み兵力强い國々は、例外なく國民が非常に自分の職業に眞面目ま じ めで、全力をつくしてゐることを知つた。國民が各自その職分しょくぶんに熱心な國は必ず文化が進み、富國强兵ふこくきょうへいなのである。思ふに國民として十分に知識を世界に求め、各方面の才能を伸ばし、その業務に眞面目に熱心になるのは、何も特別に困難なことではなく、當然とうぜん行はなければならない責任をつくすことに他ならない。したがつていずれの國民でも決心次第でこれは行ひるのである。現に我國では長い間の武家政治が終り、全く政治上うまれかはつた次第で、今後、時勢と合はないすべての古い制度を變革へんかくして、文明國として各國と歩調を共にして進む覺悟かくごで居る。この際し全國民が一致協力して、同じこころざしもとに熱心に眞面目ま じ めに進まなかつたとすれば如何い かちんのみが以上の事に心をなやましても、到底とうていこの希望は達せられない。