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42-1 服制ヲ改ムルノ勅語 明治天皇(第百二十二代)

服制ふくせいあらたムルノ勅語ちょくご(第一段)(明治四年九月四日 岩倉公實記)

【謹譯】ちんおもフニ風俗ふうぞくナルもの移換いかんもっときよろシキニしたがヒ、國體こくたいナルもの不拔ふばつもっそのいきおいせいス。いま衣冠いかんせい中古ちゅうこ唐制とうせい模倣もほうセシヨリ、ながレテ軟弱なんじゃくふうヲナス。ちんはなはこれがいス。

【字句謹解】◯移換 移しかへること ◯不拔 動かすべからざるもの ◯其勢ヲ制ス 趨勢すうせいを指導する ◯唐制 支那し な唐代とうだいの制 ◯軟弱 雄々お おしいふうのない意 ◯之ヲ慨ス この傾向を不滿ふまんに思ふ。

【大意謹述】思ふに日本が久しくつづいた武家政治を破つて、王政おうせい復古ふっこじつをあげた今日こんにち、各方面に改良することが多いが、就中なかんずく日常の制服に就いてその感を深くするものがある。風俗は時と共に推し移るのが當然とうぜんで、各時代に最も都合のよいものを用ゐるのが便利なことは、今改めて說く要もあるまい。これに注意すると同時に一方國體こくたい尊嚴そんげんは動かすべからざるもので、風俗その他社會しゃかい趨勢すうせい國體こくたい觀念かんねんにより指導しなければならぬ。在來ざいらい、制服・禮服れいふくの規定は、中古に支那し な唐代とうだいのものを眞似ま ねて以來、引續ひきつづいてそのへいを改めず、およそ男性的なおもむきをははるかに遠い、柔弱にゅうじゃくふうのままでゐる。ちんは常にこの傾向にたいし、すこぶ不滿ふまんを感じてゐた。

【備考】服裝ふくそうは形式一ぺんのものだとふ人々もあるが、必ずしも、左樣そ うではない。柔弱にゅうじゃく服裝ふくそうは、柔弱にゅうじゃく精神せいしんともなやすい。こと支那し な唐代とうだい遺風いふうを追ふことは、よき影響を四方に及ぼす所以ゆえんでない。かしこくも、明治天皇には、ここ叡慮えいりょを傾けさせられ、勅語ちょくごたまわつたものと拜察はいさつする。