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36 加賀國の孝子財部繼麻呂を旌表せしむるの勅 仁明天皇(第五十四代)

加賀國かがのくに孝子こうし財部たからべの繼麻呂つぐまろ旌表せいひょうせしむるのみことのり(承和四年十一月 續日本後紀

宜叙三階、終身免其戸租、旌表門閭、令衆庶知。

【謹譯】よろしく三かいじょし、おわるまで戸租こ そめんじ、門閭もんりょ旌表せいひょうして、衆庶しゅうしょをしてらしむべし。

【字句謹解】◯財部繼麻呂 加賀國かがのくに孝子こうし、『日本後紀しょくにほんこうきかん六、仁明にんみょう天皇承和しょうわ四年十一月十七日のくだりには、「財部繼麻呂たからべのつぐまろは、父母そんするの日、定省ていせいれいせつを失はず。沒後ぼつご操行そうこうかわらず、朝夕ちょうせき哀慕あいぼす。隣里りんり郷邑きょうゆう推服すいふくせざるなし。孝子こうしふべし」とあり、繼麻呂つぐまろ加賀國かがのくに能美郡のみのごおりの出身である ◯三階に叙し 位階いかいをば三等のぼすこと ◯身を終るまで 一生涯のこと ◯戸租 一家にかんした一切の租稅そぜい ◯門閭に旌表して 村里の入口にその者の姓名と奇特なおこないとを記して模範とすること。

〔注意〕『日本後紀しょくにほんこうき』にはこのほか後述する、「武藏國むさしのくに多摩郡たまのごおり節婦せっぷ眞刀自咩ま と じ めしょうするのみことのり」(仁明天皇承和十三年五月)がのつてゐる。後世各地方の孝子こうし節婦せっぷは領主から賞せられるやうになつたが、特にみことのりたまはり、その孝節をよみせられた仁明にんみょう天皇御德おんとく、及びこの兩人の國史こくしに於ける耀かがやかしい地位に尊敬の感じが起る。

【大意謹述】加賀國かがのくに孝子こうし財部繼麻呂たからべのつぐまろたいして、位階いかいをば三等のぼし、一生涯その一家にかんしては稅金を課することを全免し、村里の入口に姓名・行爲こういを記した札を建てて、多數たすうの模範とさせるがよろしい。