8-6 陋習を禁ずるの詔 孝德天皇(第三十六代)

陋習ろうしゅうきんずるのみことのり(第六段)(大化二年三月 日本書紀

(營墓の詔)

凡王以下、小智以上之墓者、宜用小石。其帷帳等、宜用白布。庶人亡時、收埋於地。其帷帳等、可用麁布。一日莫停。凡王以下、及至庶民、不得營殯。

【謹譯】およおうより以下い か小智しょうち以上いじょうはかは、よろしくちいさきいしもちゐよ。かたびらかいしろとうにはよろしく白布はくふもちゐよ。庶人しょにんなむときにはおさうずめ、かたびらかいしろとうには麁布そ ふもちゐるべし。一にちとどむることなかれ。およおう以下い かおよ庶民しょみんいたるまで、もがりつくることをじ。

【字句謹解】◯小さき石 碑石ひせきのこと。表面に官位かんい姓名せいめいを記すもの ◯庶人 一般の國民、當時とうじの主要生產は米であり、農夫を「おほむたから」といつた例が多い。ただしこの場合は必ずしも農夫のみを指さず、文字通り、百姓ひゃくせいの意である ◯麁布 粗末に織つた布 ◯ 本式にほうむる以前、二三日かりの小舍こ や死體したいを安置すること、假葬かりそう小舍こ や

【大意謹述】かみは王からしも小智しょうちの位にある人に至るまでの墓には、官位かんい姓名せいめいを記すを建てるのがよろしい。かんおおふものは白い布が最も適當てきとうである、無位む い無官むかんの一般國民の場合には、地にうずめたままで、粗末な織り方の布でかんおおふことに定める。死者を一日でもそのままの姿で置いてはならない。王以下一般の國民に至るまで、すべ假葬かりそう小舍こ やを作ることを禁ずる。