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62 五畿內に下し給へる詔 桓武天皇(第五十代)

畿內きないくだたまへるみことのり(延曆七年四月 續日本紀

頃者亢旱累月。溝池乏水。百姓之間。不得耕種。宜仰所司。不問王臣。家田有水之處。恣任百姓。權令播種勿失農時。

【謹譯】頃者このごろ亢旱こうかんつきかさね、溝池こうちみずとぼしく、百姓ひゃくせいかん耕種こうしゅするをずと。よろしく所司しょしおおせて、王臣おうしんたるをはず、家田かでんみずあるのところは、ほしいまま百姓ひゃくせいまかせ、かり播種ばんしゅし、のうときうしなふことからしむべし。

【字句謹解】◯亢旱 ひどいひでり、旱魃かんばつ ◯月を累ね すうヶ月にわたつての意 ◯溝池 みぞやいけ ◯耕種 田をたがやして種子た ねをまく ◯所司 もろもろのつかさ、所管しょかんの役人 ◯王臣 王家おうけ臣家しんか ◯權に かりにまにあはせに、一しのぎにの意。に就ては異說いせつあり、備考欄をみよ。

【大意謹述】このすうヶ月間、ひどいひでりがつづいたために、溝や池の水も無くなつてしまひ、農夫たちは種子た ねをまくことが出來ず、大變たいへん難儀なんぎをして居るといふことである。それで所管しょかんの役人に命じて、王家おうけ臣家しんか家田かでんのうち、水のあるところは、どこでも自由に農夫たちに使用させ、まにあはせにでも種子た ねかせて、農業の時を失はせないやうにせよ。

【備考】六國史りくこくしは『令播種』を『令播種』に作つて居るが、本書はしばらく原本にしたがふ。