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52 田租を免ずるの勅 稱德天皇(第四十八代)

大日本詔勅謹解1 思想社會篇

田租でんそめんずるのみことのり天平神護二年六月 續日本紀

如聞。左右京及大和國。天平神護元年田租。未全輸了。誠頻年不登。百姓乏絕。宜除輸了。外悉原免。

【謹譯】くならく、左右さゆうきょうおよ大和國やまとのくにの、天平てんぴょう神護しんご元年がんねん田租でんそは、いままったくはおわらず。まこと頻年ひんねんみのらず、百姓ひゃくせい乏絕ぼうぜつせるためなりと。よろしくおわりたるをのぞき、ほかことごと原免げんめんすべし。

【字句謹解】◯左右の京 平城京ならのみやこの左京と右京、詳しくは第三十の〔註一〕をみよ ◯天平神護元年 皇紀こうき一四二五年にあたる。元號げんごうの由來は稱德しょうとく天皇改元ちょく『幸賴國風雨助軍、不盈旬日、咸伏誅戮。』(さいわひにれいこくまもり、風雨ふうう軍を助けしにり、旬日じゅんじつたずして、誅戮ちゅうりくしぬ。)に出づ。『誅戮ちゅうりくす』とは逆臣ぎゃくしん藤原ふじはら仲麻呂なかまろを指されしもの ◯輸す 運ぶ、送る、すなわみつぎをおくり、はこぶこと ◯頻年 原本げんぽんに作る、六國史りくこくしよって改む。ひんはしばしば、つづけて、たびたび、しきりに。すなわ頻年ひんねん毎年まいねん毎年まいねん、近年しきりにの意 ◯登らず 榖物のみのらないこと、不作・凶作をいふ。みのらず、みのらず、みのらずに同じ ◯乏絕 窮乏きゅうぼうしてこまること ◯原免 げんはゆるすこと、ゆうしゃに同じ。すなわちゆるし免ずること。同樣どうようの用例としては、罪をすすぐことをせつといふ如し。

【大意謹述】聞くところによれば、左京・右京および大和國やまとのくにの昨年(天平神護元年)の田租でんそは、まだ全部は運び終らず、しかもその遲延ちえんした理由は、近年榖物こくもつがみのらず、民が窮乏きゅうぼうして居るためであるとのことである。それはどくな次第であるから、すでに運び終つた分を除いて、はすべて免除するやうにせよ。