40 公私の債負原免の勅 孝謙天皇(第四十六代)

公私こうし債負さいふ原免げんめんみことのり天平勝寶三年十一月 續日本紀

天平勝寶元年已前。公私債負未納者悉從原免。其借貸者不在此例。但身亡者准前。

【謹譯】天平てんぴょう勝寶しょうほう元年がんねんより已前いぜんの、公私こうし債負さいふにして、いまおさめざるものは、ことごと原免げんめんしたがへ。借貸しゃくたいれいらず。ただほろものまえじゅんず。

【字句謹解】◯公私 おほやけとわたくしと。たい國家こっか社會しゃかい的なことと、たい個人的なことと ◯債負 負債ふさいの意、かり、借財しゃくざい、借金 ◯原免 げんゆうしゃに同じく、ゆるすこと。すなわちゆるし免ずること。同樣どうようの用例としては、罪をゆるしすすぐことをせつといふ如し ◯借貸 むかし國司こくしが民に貸與たいよして、その利息を納めなかつたのを借貸しゃくたいといふ。普通のいはゆる『かりかし』の意にあらず ◯前に准ず 前になぞらふ。前項すなわ原免げんめんの例にならつての意、じゅんじゅんに同じ。

【大意謹述】一昨年さくねんすなわ天平てんぴょう勝寶しょうほう元年より以前の負債のうちで、まだ今日こんにちまで返納して居ない分にたいしては、すべてこれをゆるし免ずるやうにせよ。もっと國司こくしから官稻かんとう貸與たいよされて居る借貸しゃくたいについては、この例によらず、返納しなければならない。ただし死亡したものは、前例によつて免除するやうにせよ。