34 田租を免ずるの詔 聖武天皇(第四十五代)

田租でんそめんずるのみことのり(神龜三年九月 續日本紀

今秋大稔民用豐實。思與天下共茲歡慶。宜免今年田租。

【謹譯】今秋こんしゅうおおいにみのり、たみもっ豐實ほうじつなり。天下てんかここ歡慶よろこびともにせんことをおもふ。よろしく今年こんねん田租でんそめんずべし。

【字句謹解】◯稔る みのる、榖物こくもつがよく熟しみのること。みのる・みのる・みのる・みのる・みのる等に同じ ◯用て 以てに同じ。同樣どうようの用例としては史記し き李陵傳りりょうでんに『居門下者皆爲恥』とあり ◯豐實 ゆたかなること、富裕ふゆうなること ◯歡慶 よろこびいはふ。かんはよろこびたのしむ、けいはよろこびしゅくする意 ◯田租 田畝でんぽに課する租稅そぜいよう調ちょうたいにして、官府かんぷが人民の田畝でんぽ賦課ぶ かして、その收穫高しゅうかくだかの幾分を徵收ちょうしゅうせしもの、ねんぐ、かかりもの、そぜい。に就ては、第十九の〔註二〕口分田および班田收授法を參照せよ。

【大意謹述】今年ことしの秋はよく榖物がみのり、そのために一般人民も、衣食がゆたかのやうである。まことに喜ばしき次第で、ちんはこのよろこびを天下と共にしたいと思ふ。そこで今年のねんぐは、一般に免除するやうにせよ。