31 田租を免ずるの詔 元正天皇(第四十四代)

田租でんそめんずるのみことのり(養老六年八月 續日本紀

如聞。今年少雨。禾稻不熟。其京師及天下諸國。當年田租。並宜免之。

【謹譯】くならく、今年ことしあめすくなく、禾稻かとうみのらずと。京師けいしおよ天下てんか諸國しょこく當年とうねん田租でんそは、ならびよろしくこれめんずべし。

【字句謹解】◯禾稻 とうも共にいね、てんじて穀類こくるい總稱そうしょう。たなつもの ◯京師 天子のますみやこすなわ平城京ならのみやこを指す。けいだいしゅう、大衆の居るところの義で、みやこをいふ。春秋しゅんじゅうに『公如』とあり ◯田租 よう調ちょうたい、ねんぐ、かかりもの。官が人民の田畝でんぽ賦課ぶ かして、その收穫高しゅうかくだかの幾分かを徵收ちょうしゅうせしもの。第十九の〔註二〕口分田及び班田收受法を參照せよ。

【大意謹述】聞くところによると、今年は雨が少くて、いねくみのらなかつたといふことである。それで平城京ならのみやこも天下の諸國も、みな一やうに今年の田租でんそは、すべてこれを免除することにせよ。