大日本詔勅謹解1 思想社會篇

41 恩赦賑恤の勅 孝謙天皇(第四十六代)

恩赦おんしゃ賑恤しんじゅつの勅みことのり(天平勝寶七歳十月 續日本紀) 比日之間。太上天皇。枕席不安。寢膳乖宜。朕竊念茲。情深惻隱。其救病之方唯在施惠。延命之要。莫若濟苦。宜大赦天下。其犯八虐。故殺人。私鑄錢。强盗。竊盗。常赦所不免者不在赦…

40 公私の債負原免の勅 孝謙天皇(第四十六代)

公私こうしの債負さいふ原免げんめんの勅みことのり(天平勝寶三年十一月 續日本紀) 自天平勝寶元年已前。公私債負未納者悉從原免。其借貸者不在此例。但身亡者准前。 【謹譯】天平てんぴょう勝寶しょうほう元年がんねんより已前いぜんの、公私こうしの債負…

39 恩赦の勅 聖武天皇(第四十五代)

恩赦おんしゃの勅みことのり(天平十二年六月 續日本紀) 朕君臨八荒奄有萬姓。履薄馭朽。情深覆育。求衣忘寢。思切納隍。恒念。何答上玄。人民有休平之樂。能稱明命。國家致寧泰之榮者。信是被於寬仁。挂網之徒。保身命而得壽。布於鴻恩。窮乏類。脫乞微而…

38 國司を戒飭するの詔 聖武天皇(第四十五代)

國司こくしを戒飭かいちょくするの詔みことのり(天平九年九月 續日本紀) 如聞。臣家之稻貯蓄諸國。出擧百姓。求利交關。無知愚民。不顧後害。迷安乞食。忘此農務。遂逼乏困。逃亡他所。父子流離。夫婦相失。百姓弊窮。因斯彌甚。實是國司敎喩。乖方之所致…

37 田租を免ずるの詔 聖武天皇(第四十五代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(天平八年十月 續日本紀) 如聞。比年太宰所管諸國公事稍繁。勞役不少。加以去冬疫瘡。男女惣困。農事有廢。五榖不饒。宜免今年田租令續民令。 【謹譯】聞きくならく、比年このごろ、太宰だざいが管かんする所ところの…

36 國司に下し給へる勅 聖武天皇(第四十五代)

國司こくしに下くだし給たまへる勅みことのり(天平七年閏十一月 續日本紀) 朕選卿等任爲國司。奉遵條章僅有一兩人。而或人以虛事求聲譽。或人背公家向私業。因此。比年國內弊損百姓困乏。理不合然。自今以後。勤恪奉法者褒賞之。懈怠無狀者貶黜之。宜知斯…

35 民の疾苦を問ふの詔 聖武天皇(第四十五代)

民たみの疾苦しっくを問とふの詔みことのり(天平六年四月 續日本紀) 比日天地之灾。有異於常。思朕撫育之化。於汝百姓有所闕失歟。今故發遣使者問其疾苦。宜知朕意焉。 【謹譯】比日このごろ天地てんちの灾わざわい、常つねに異ことなることあり。思おもふ…

34 田租を免ずるの詔 聖武天皇(第四十五代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(神龜三年九月 續日本紀) 今秋大稔民用豐實。思與天下共茲歡慶。宜免今年田租。 【謹譯】今秋こんしゅう大おおいに稔みのり、民たみ用もって豐實ほうじつなり。天下てんかと茲ここに歡慶よろこびを共ともにせんことを…

33 醫藥を施すの詔 聖武天皇(第四十五代)

醫藥いやくを施ほどこすの詔みことのり(神龜三年六月 續日本紀) 夫百姓或染沈痼病。經年未愈。或亦得重病。晝夜辛苦。朕爲父母。何不憐愍。宜遣醫藥於左右京四畿及六道諸國。救療此類。咸得安寧。依病輕重。賜榖賑恤。所司存懷勉稱朕心焉。 【謹譯】夫それ…

32 農蠶を勸むるの詔 元正天皇(第四十四代)

農蠶のうさんを勸すすむるの詔みことのり(養老七年二月 續日本紀) 乾坤持施燾載之德以深。皇王至公亭毒之仁斯廣。然則居南面者。必代天而闢化。儀北辰者。亦順時以涵育。是以朕巡京城。遙望郊野。芳春仲月。草木滋榮。東候始啓。丁壯就隴畝之勉。時雨漸澍…

31 田租を免ずるの詔 元正天皇(第四十四代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(養老六年八月 續日本紀) 如聞。今年少雨。禾稻不熟。其京師及天下諸國。當年田租。並宜免之。 【謹譯】聞きくならく、今年ことし、雨あめ少すくなく、禾稻かとう熟みのらずと。其それ京師けいし及および天下てんかの…

30 調役を免ずるの勅 元正天皇(第四十四代)

調役ちょうえきを免めんずるの勅みことのり(養老五年三月 續日本紀) 朕君臨四海。撫育百姓。思欲家々貯積。人々安樂。何期。頃者旱澇不調。農桑有損。遂使衣食乏短。致有飢寒。言念於茲良增惻隱。今減課役。用助產業。其左右及畿內五國。並免今歳之調。自…

29 直言を求むるの詔 元正天皇(第四十四代)

直言ちょくげんを求もとむるの詔みことのり(養老五年二月 續日本紀) 世諺云。歳在申年常有事故。此如所言。去庚申年。咎徵屢見。水旱並臻。平民流沒秋稼不登。國家騒然。萬姓苦勞。遂則朝庭儀表藤原大臣。奄焉薨逝。朕心哀慟。今亦去年灾異之餘延及今歳。…

28 直言を納るるの詔 元正天皇(第四十四代)

直言ちょくげんを納いるるの詔みことのり(養老五年二月 續日本紀) 朕德菲薄。導民不明。夙興以求。夜寐以思。身居紫宮。心在黔首。無委卿等。何化天下。國家之事。有益萬機。必可奏聞。如有不納。重爲極諫。汝無面從退有後言。 【謹譯】朕ちん德とく菲薄ひ…

27 文武の庶僚に下し給へる詔 元正天皇(第四十四代)

文武ぶんぶの庶僚しょりょうに下くだし給たまへる詔みことのり(養老五年正月 續日本紀) 至公無私國士之常風。以忠事君臣子之恆道焉。當須各勤所職退食自公。康哉之歌不遠。隆平之基斯在。灾異消上。休徵叶下。宜文武庶僚。自今以去若有風雨雷震之異。各存…

26 皇太子輔佐の任を命ずるの詔 元正天皇(第四十四代)

皇太子こうたいし輔佐ほ さの任にんを命めいずるの詔みことのり(養老三年十月 續日本紀) 開闢已來法令尙矣。君臣定位運有所屬。洎于中古雖由行未彰綱目。降至近江之世。改張悉備。迄於藤原之朝。頗有增損。由行頻改。以爲恆法。由是。稽遠祖之正典。考列代…

25 麥禾を兼ね種うるの詔 元正天皇(第四十四代)

麥禾ばくかを兼かね種ううるの詔みことのり(靈龜元年十月 續日本紀) 國家隆泰。要在富民。富民之本。務從貨食。故男勤耕耘。女脩絍織。家有衣食之饒。人生廉耻之心。刑措之化爰興。太平之風可致。凡厥吏民豈不勖歟。今諸國百姓未盡產術。唯趣水澤之種。不…

24 諸寺の田野を多く占むるを禁ずるの詔 元明天皇(第四十三代)

諸寺しょじの田野でんやを多おおく占しむるを禁きんずるの詔みことのり(和銅六年十月 續日本紀) 諸寺多占田野。其數無限。宜自今以後。數過格者皆還收之。 【謹譯】諸寺しょじ多おおく田野でんやを占しめ、其その數すう限かぎり無なし。宜よろしく今いまよ…

23 行旅の便を謀るの詔 元明天皇(第四十三代)

行旅こうりょの便べんを謀はかるの詔みことのり(和銅五年十月 續日本紀) 諸國役夫及運脚者。還郷之日。粮食乏少無由得達。宜割郡稻別貯便地。隨役夫到任令交易。又令行旅人必齎錢爲資。因息重擔之勞。亦知用錢之便。 【謹譯】諸國しょこくの役夫えきふ、及…

22 國郡司の利を收むるを禁ずるの詔 元明天皇(第四十三代)

國こく郡司ぐんじの利りを收おさむるを禁きんずるの詔みことのり(和銅五年五月 續日本紀) 諸國大稅。三年賑貸者。本爲恤濟百姓窮乏。今國郡司及里長等。緣此恩借妄生方便。害政蠧民莫斯爲甚。如顧潤身。枉收利者。以重論之。罪在不赦。 【謹譯】諸國しょこ…

21 山野を占むるを禁ずるの詔 元明天皇(第四十三代)

山野さんやを占しむるを禁きんずるの詔みことのり(和銅四年十二月 續日本紀) 親王已下及豪强之家。多占山野妨百姓業。自今以來。嚴加禁斷。但有應墾開空地者。宜經國司然後聽官處分。 【謹譯】親王しんのう已下い か及および豪强ごうきょうの家いえ、多お…

20 調租を免ずるの詔 元明天皇(第四十三代)

調租ちょうそを免めんずるの詔みことのり(和銅二年十月 續日本紀) 比者遷都易邑搖動百姓。雖加鎭撫未能安堵。毎念於此朕甚愍焉。宜當年調租竝悉免之。 【謹譯】比者このごろ都みやこを遷うつし邑ゆうを易かへ、百姓ひゃくせいを搖動ようどうす。鎭撫ちんぶ…

19 王公諸臣の山澤を占むるを禁ずるの詔 文武天皇(第四十二代)

王公おうこう諸臣しょしんの山澤さんたくを占しむるを禁きんずるの詔みことのり(慶雲三年三月 續日本紀) 軒冕之群受代耕之祿。有秩之類无妨於民農。故召伯所以憩甘棠。公休由其拔園葵。頃者王公諸臣多占山澤。不事耕種。競懷貪婪。空妨地利。若有百姓採柴…

18 災を禳ひ民を救ふの詔 文武天皇(第四十二代)

災わざわいを禳はらひ民たみを救すくふの詔みことのり(慶雲二年四月 續日本紀) 朕以菲薄之躬託于王公之上。不能德感上天仁及黎庶。遂令陰陽錯謬水旱失時年榖不登民多菜色。毎念於此惻怛於心。宜令五大寺讀金光妙經。爲救民苦天下諸國勿收今年擧稅之利。幷…

17 窮民を恤むの詔 天武天皇(第四十代)

窮民きゅうみんを恤あわれむの詔みことのり(朱鳥元年七月 日本書紀) 天下百姓。由貧乏而貸稻及貨財者。乙酉年十二月三十日以前。不問公私皆免原。 【謹譯】天下てんかの百姓せい、貧乏びんぼうに由よつて稻いね及および貨財かざいを貸いらす者もの、乙酉年…

16 百官に下し給へる詔 天武天皇(第四十代)

百官ひゃっかんに下くだし給たまへる詔みことのり(九年十一月 日本書紀) 若有利國家寬百姓之術者。詣闕親申。則詞合於理立爲法則。 【謹譯】若もし國家こっかを利りし、百姓せいを寬ゆたかにするの術すべ有ある者ものは、闕みかどに詣いたりて親したしく申…

15 王卿を戒むるの詔 天武天皇(第四十代)

王卿おうけいを戒いましむるの詔みことのり(八年十月 日本書紀) 朕聞之。近日暴惡者多在巷里。是則王卿等之過也。或聞暴惡者也。煩之忍而不治。或見惡人也。倦之匿以不正。其隨見聞。以糺彈者。豈有暴惡乎。是以自今以後。無煩倦而上責下過。下諫上暴乃國…

14 貸稅の詔 天武天皇(第四十代)

貸稅たいぜいの詔みことのり(四年四月 日本書紀) 諸國貸稅。自今以後。明察百姓。先知富貧。簡定三等。仍中戸以下應與貸。 【謹譯】諸國しょこくの貸稅いらしのおおちからは、今いまより以後い ご、明あきらかに百姓せいを察みて、先まづ富貧ふひんを知し…

13 東國の國司に下し給へる詔 孝德天皇(第三十六代)

東國とうごくの國司こくしに下くだし給たまへる詔みことのり(大化二年三月 日本書紀) 集侍群卿。大夫。及臣。連。國造。伴造。幷諸百姓等。咸可聽之。夫君於天地之間而宰萬民者不可獨制。要須臣翼。由是代々之我皇祖等。共卿祖考倶治。朕復思欲蒙神護力共…

12 直言を求むるの詔 孝德天皇(第三十六代)

直言ちょくげんを求もとむるの詔みことのり(大化二年二月 日本書紀) 朕聞。明哲之御民者懸鍾於闕而觀百姓之憂。作屋於衢而聽路行之謗。雖芻蕘之說親問爲師。由是朕前下詔曰。古之治天下。朝有進善之旌。誹謗之木。所以通治道而來諫者也。皆所以廣詢于下也…