大日本詔勅謹解1 思想社會篇

71 田租を免ずるの詔 嵯峨天皇(第五十二代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(弘仁六年七月 日本後紀) 天生黎元。樹之司牧。所以阜財利用。化成天下。是以欲濟弊俗。達旦不已。思使農夫有稔熟之歡。婦功無杼軸之歎。而去五月以降。雨水迸溢。田疇不修。夫百姓不足。君孰與足。宜俾左右京畿內。…

70 諸國の吏を責むるの勅 嵯峨天皇(第五十二代)

諸國しょこくの吏りを責せむるの勅みことのり(弘仁四年五月 類聚國史) 治國之要。在於富民。民有其蓄。凶年是防。故禹水九年。人無飢色。湯旱七歳。民不失業。今諸國之吏。深乖委寄。或差役失時。妨廢農要。或專事侵漁。無心撫字。因此黎元失業。飢饉自隨…

69 田租を免ずるの勅 平城天皇(第五十一代)

田租でんそを免めんずるの勅みことのり(大同元年十一月 類聚國史) 筑前肥前者宜免二箇年。筑後肥後豐前豐後日向大隅薩摩壹岐等者。並免一箇年。 伊賀紀伊淡路等三國。頻年不稔。民弊殊甚。宜始自今年。六箇年田租。免四收六。 【謹譯】筑前ちくぜん・肥前…

68 正稅を貸すの勅 平城天皇(第五十一代)

正稅せいぜいを貸かすの勅みことのり(大同元年五月 日本後紀) 今聞。頻年不登。民食惟乏。雖出擧公稻。而猶多阻飢。因茲。私託民間。更事乞貸。報償之時。息利兼倍。遂使富强之輩。膏粱有餘。貧弊之家。糟糠不厭。宜貸正稅。濟彼絕乏。須差使實錄貧人。結…

67 貧富を均濟にするの勅 桓武天皇(第五十代)

貧富ひんぷを均濟きんさいにするの勅みことのり(延曆二十二年六月 類聚國史) 去年不登。民業絕乏。富贍之輩。唯有餘儲。糶則要以貴價。借則責之大利。因茲貧民彌貧。富家逾富。均濟之道。良不須然。宜遣使大和國。割折有餘之貯。假貸不足之徒。收納之時。…

66 王臣豪民の山林を占むるを禁ずるの勅 桓武天皇(第五十代)

王臣おうしん豪民ごうみんの山林さんりんを占しむるを禁きんずるの勅みことのり(延曆十九年四月 類聚國史) 山澤之利。公私須共。是以屢下明制。重禁專擅。而伊賀國不顧朝憲。王臣豪民。廣占山林。不許民採。國郡官司。知而不禁。妨民奪利。莫過於斯。若慣…

65 田租を免ずるの詔 桓武天皇(第五十代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(延曆十八年六月 日本後紀) 惟王經國。德政爲先。惟帝養民。嘉榖爲本。朕以寡薄。忝承洪基。懼甚履氷。懍乎御朽。昧旦丕顯。日昃聽朝。思弘政治。冀宣風化。而時雍未洽。陰陽失和。去年不登。稼穡被害。眷言其弊。有…

64 田租を免ずるの詔 桓武天皇(第五十代)

田租でんそを免めんずるの詔みことのり(延曆九年九月 續日本紀) 朕以寡昧。忝馭寰區。旰食宵衣。情存撫育。而至和靡屆。炎旱爲灾。田疇不修。農畝多廢。雖豐儉有時。而責深在予。今聞。京畿失稔。甚於外國。兼苦疾疫飢饉者衆。宜免左右京及五畿內。今年田…

63 出擧の息利を減ずるの詔 桓武天皇(第五十代)

出擧すいこの息利そくりを減げんずるの詔みことのり(延曆七年九月 續日本紀) 朕以眇身。忝承鴻業。水陸有便。建都長岡。而宮室未就。興作稍多。徵發之苦。頗在百姓。是以優其功賃。欲無勞煩。今聞。造宮役夫。短褐不完。類多羸弱。靜言於此。深軫于懷。宜…

62 五畿內に下し給へる詔 桓武天皇(第五十代)

五畿內きないに下くだし給たまへる詔みことのり(延曆七年四月 續日本紀) 頃者亢旱累月。溝池乏水。百姓之間。不得耕種。宜仰所司。不問王臣。家田有水之處。恣任百姓。權令播種勿失農時。 【謹譯】頃者このごろ亢旱こうかん月つきを累かさね、溝池こうち水…

61 豐稔賑恤の詔 桓武天皇(第五十代)

豐稔ほうねん賑恤しんじゅつの詔みことのり(延曆六年十月 續日本紀) 朕君臨四海。于茲七載。未能使含生之民。共洽淳化。率土之內。咸致雍熙。顧惟虛薄。良用慙嘆。而天下諸國。今年豐稔。享此大賚。豈獨在予。思與百姓。慶斯有年。其賜天下高年。百歳已上…

60 王臣等山澤の利を專にするを禁ずるの詔 桓武天皇(第五十代)

王臣おうしん等ら山澤さんたくの利りを專もっぱらにするを禁きんずるの詔みことのり(延曆三年十二月 續日本紀) 山川藪澤之利。公私共之。具有令文。如聞比來。或王臣家。及諸司寺家。包幷山林。獨專其利。是而不禁。百姓何濟。宜加禁斷。公私共之。如有違…

59 國司の私營田幷に墾闢を禁ずるの詔 桓武天皇(第五十代)

國司こくしの私營田しえいでん幷ならびに墾闢こんぺきを禁きんずるの詔みことのり(延曆三年十一月 續日本紀) 民惟邦本。本固國寧。民之所資。農桑是切。比者諸國司等。厥政多僻。不愧撫道之乖方。唯恐侵漁之未巧。或廣占林野。奪蒼生之便要。或多營田園。…

58 僧徒の利を貪るを禁ずるの勅 桓武天皇(第五十代)

僧徒そうとの利りを貪むさぼるを禁きんずるの勅みことのり(延曆二年十二月 續日本紀) 先有禁斷。曾未懲革。而今京內諸寺。貪求利潤。以宅取質。𢌞利爲本。非只綱維越法。抑亦官司阿容。何其爲吏之道。輙違王憲。出塵之輩。更結俗網。宜其雖經多歳。勿過一…

57 官紀振肅の詔 桓武天皇(第五十代)

官紀かんき振肅しんしゅくの詔みことのり(天應元年六月 續日本紀) 惟王之置百官也。量材授能。職員有限。自茲厥後。事務稍繁。卽量劇官。仍置員外。近古因循。其流盖廣。譬以十羊。更成九牧。民之受弊。寔爲此焉。朕肇膺寶曆。君臨區夏。言念生民。情深撫…

56 坂東諸國に糒を備ふるの勅 光仁天皇(第四十九代)

坂東ばんどう諸國しょこくに糒ほしいいを備そなふるの勅みことのり(寶龜十一年五月 續日本紀) 機要之備。不可闕乏。宜仰坂東諸國。及能登越中越後。令備糒三萬斛。 【謹譯】機要きようの備そなえは、闕乏けつぼうすべからず。宜よろしく坂東ばんどう諸國し…

55 不當の利を貪るを禁ずるの勅 光仁天皇(第四十九代)

不當ふとうの利りを貪むさぼるを禁きんずるの勅みことのり(寶龜十年九月 續日本紀) 頃年百姓競求利潤。或擧少錢。貪得多利。或期重契。强責質財。未經幾月。忽然一倍。窮民酬償彌致滅門。自今以後。宜據令條。不得以過一倍之利。若不悛心。㒃及與者。不論…

54 田を賈り傜錢を輸するを禁ずるの勅 光仁天皇(第四十九代)

田たを賈うり傜錢ようせんを輸ゆするを禁きんずるの勅みことのり(寶龜十年九月 續日本紀) 依令條。全戸不在郷。依舊籍轉寫。幷顯不在之由。而職撿不進計帳之戸。無論不課及課戸之色。摠取其田。皆悉賣却。一取之後。更無改還。濟民之務。豈合如此。又差使…

53 農桑を勸課するの勅 稱德天皇(第四十八代)

農桑のうそうを勸課かんかするの勅みことのり(神護景雲元年四月 續日本紀) 夫農者天下之本也。吏者民之父母也。勸課農桑。令有常制。比來諸國。頻年不登。匪唯天道乖宜。仰亦人事怠慢。宜令天下。勤事農桑。仍擇差國司恪勤尤異者一人。幷郡司及民中良謹有…

52 田租を免ずるの勅 稱德天皇(第四十八代)

田租でんそを免めんずるの勅みことのり(天平神護二年六月 續日本紀) 如聞。左右京及大和國。天平神護元年田租。未全輸了。誠頻年不登。百姓乏絕。宜除輸了。外悉原免。 【謹譯】聞きくならく、左右さゆうの京きょう及および大和國やまとのくにの、天平てん…

51 田租を免ずるの勅 淳仁天皇(第四十七代)

田租でんそを免めんずるの勅みことのり(天平寶字七年八月 續日本紀) 如聞。去歳霖雨。今年亢旱。五榖不熟。米價踊貴。由此百姓稍苦飢饉。加以疾疫。死亡數多。朕毎念茲。情深傷惻。宜免左右京五畿內。七道諸國。今年田租。 【謹譯】聞きくならく、去歳きょ…

50 諸國司を敎戒するの勅 淳仁天皇(第四十七代)

諸しょ國司こくしを敎戒きょうかいするの勅みことのり(天平寶字五年八月 續日本紀) 頃見七道巡察使奏狀。曾無一國守領政合公平。竊思。貪濁人多。淸白吏少。朕聞。授非賢哲。萬事咸邪。任得其才。千務悉理。止如國司。一色親管。百姓藉其。奬導風俗。字撫…

49 田租を免ずるの勅 淳仁天皇(第四十七代)

田租でんそを免めんずるの勅みことのり(天平寶字三年十一月 續日本紀) 如聞。去十月中大風。百姓盧舍。並被破壞。是以。爲修其舍。免今年田租。 【謹譯】聞きくならく、去さる十月中がつちゅう大風たいふうあり、百姓ひゃくせいの盧舍ろしゃ、並ならびに破…

48 諸國調脚の飢苦を救ふの勅 淳仁天皇(第四十七代)

諸國しょこく調脚ちょうきゃくの飢苦き くを救すくふの勅みことのり(天平寶字三年五月 續日本紀) 頃聞。至于三冬間。市邊多餓人。尋問其由皆云。諸國調脚不得還郷。或因病憂苦。或無粮飢寒。朕竊念茲。情深矜愍。宜隨國大小。割出公廨。以爲常平倉。遂時貴…

47 直言を求むるの勅 淳仁天皇(第四十七代)

直言ちょくげんを求もとむるの勅みことのり(天平寶字三年五月 續日本紀) 朕以煢昧。欽承聖烈。母臨六合。子育兆民。見一物之或違。恨堯心之未洽。聞萬方之有罪。想湯責而多愧。而今大亂已平。逆臣遠竄。然猶天災屢見。水異頻臻。竊恐。聽易隔於黎元。人含…

46 八道賑恤の詔 孝謙天皇(第四十六代)

八道はちどう賑恤しんじゅつの詔みことのり(天平寶字二年正月 續日本紀) 朕聞。則天施化。聖主遺章。順月宣風。先王嘉令。故能二儀無愆。四時和協。休氣布於率土。仁壽致於群生。今者三陽旣建。萬物初萠。和景惟新。人宜納慶。是以別使八道。巡問民苦。務…

45 百僚を諭すの詔 孝謙天皇(第四十六代)

百僚ひゃくりょうを諭さとすの詔みことのり(天平寶字二年正月 續日本紀) 朕以庸虛。忝承大位。母臨區宇。子育黎元。思與賢良。共淸風化。長固寶曆。久安兆民。豈意。狼戻近臣。潛懷不軌。同惡相濟。終起亂階。賴宗社威靈。遽從殲殄。旣是逆人。親黨私懷。…

44 墾田を山階寺施藥院に施すの勅 孝謙天皇(第四十六代)

墾田こんでんを山階寺やましなでら施藥院せやくいんに施ほどこすの勅みことのり(天平寶字元年十二月 續日本紀) 普爲救養疾病及貧乏之徒。以越前國墾田一百町。永施山階寺施藥院。伏願。因此善業。朕與衆生。三檀福田窮於來際。十身藥樹。蔭於塵區。永滅病…

43 行旅の病人を恤養するの勅 孝謙天皇(第四十六代)

行旅こうりょの病人びょうにんを恤養じゅつようするの勅みことのり(天平寶字元年十月 續日本紀) 如聞。諸國庸調脚夫。事畢歸郷。路遠粮絕。又行旅病人。無親恤養。欲免飢死。餬口假生。並辛苦途中。遂横斃。朕念乎此。深增憫矜。宜仰京國官司。量給粮食醫…

42 大學寮等に公廨田を置くの勅 孝謙天皇(第四十六代)

大學寮だいがくりょう等とうに公廨田くげでんを置おくの勅みことのり(天平寶字元年八月 續日本紀) 安上治民莫善於禮。移風易俗莫善於樂。禮樂所興。惟在二寮。門徒所苦。但衣與食。亦是天文陰陽曆算醫針等學。國家所要。並置公廨之田。應用諸生供給。其大…